Column
白髪を染めながら、5年後・10年後の髪と頭皮を守る ノンジアミンカラー「プライムカラー」という選択



サロン ド コワフュール シェ トモ
オーナー/スタイリスト 棚橋知生
「染めたいのに、染めるのが怖い」——その気持ちに、私は毎月向き合っています
大津・膳所でマンツーマンの美容室を営んでいる、棚橋知生です。
40代を過ぎた頃から、こんな声を聞くことが増えました。
「白髪が増えて、染める間隔がどんどん短くなってきた」
「前は平気だったのに、最近カラーのあと頭皮がかゆい」
「一度かぶれてから、染めるのが怖くなった」
白髪が気になり始める年代は、ちょうど頭皮が敏感になってくる年代と重なります。そして多くの方が、「我慢するか、諦めるか」の二択で悩んでいます。
でも、本当はもう一つの選択肢があります。それが「ノンジアミンカラー」です。この記事では、美容師として、そして頭皮に不安を抱えるお客様を何人も見てきた立場から、なぜ今このカラーをおすすめするのかを、成分のところまで踏み込んでお話しします。
アルカリカラーで、なぜかぶれる場合があるのか
いわゆるアルカリカラーは、アルカリ剤で髪を膨らませ、「ジアミン」と呼ばれる酸化染料を髪の内部で酸化・発色させることで、色を定着させます。その代表的な染料成分が、パラフェニレンジアミン(PPD)です。
このジアミンは、アレルギー性接触皮膚炎の原因になりやすい成分として知られています。厄介なのは、その性質です。
・アレルギーは「ある日突然」起こります。何年も平気だった方が、ある回を境に反応するようになることがあります
・一度ジアミンアレルギーになると、基本的に治りません
・染めるたびに反応が強くなっていく傾向があります
私はお客様に、よく「コップ」の例えでお話しします。体には、アレルギーの原因を受け止められる容量があって、それはコップのようなものです。成分に触れるたびに少しずつ水が溜まっていき、いっぱいになった瞬間にあふれ出す。それが「ある日突然のかぶれ」の正体です。
そして大事なのは、あふれるきっかけはカラー剤だけとは限らないことです。たとえば花粉症を発症したことをきっかけに、それまで平気だったヘアカラーでも反応するようになってしまった、という方もいます。一度あふれたコップは、なかなか元には戻りません。
「少しかゆいけど我慢できるから」と続けてしまう方もいますが、かゆみは頭皮からのサインです。ヘアカラーは一度きりのものではなく、これから何年も、何十回も繰り返すもの。その積み重ねを考えると、早い段階で「ジアミンを使わない」という選択肢を知っておくことには大きな意味があります。
ノンジアミンカラーとは何か
ノンジアミンカラーは、その名の通りジアミン系の酸化染料を使わないカラーです。染料の仕組みそのものが従来のカラーとは異なり、ジアミンを含まない形で髪に色を定着させます。
当店で使用しているノンジアミンカラー「プライムカラー」は、HC染料と塩基性染料をトリートメント素材に配合したタイプのカラーです。弱酸性から中性の性質で、刺激が非常に穏やかなのが特徴です。
ここで誤解してほしくないのは、これは「白髪を誤魔化すための特別な薬剤」ではないということです。
・白髪がある方には、綺麗な色で自然にカバーする染め方ができます
・白髪がない方にも、オシャレ染めとして明るく染めることができます
・ジアミンでかぶれた経験がある方にも、対応できるカラーです
色の綺麗さも、私がこのカラーを推す理由の一つです。実際に私自身、今いちばん気に入って使っているカラーでもあります。
そして、もう一つ誤解されやすい点をお伝えします。ノンジアミンカラーには、「体には良さそうだけど、黒くしか染まらないのでは」というイメージを持っている方がいます。そんなことはありません。明るくすることも、暗くすることもできますし、白髪を活かして、伸びてきたときの境目をぼかす「白髪ぼかし」のようなデザインを入れることもできます。「体に優しい」と「綺麗に染まる」は、両立できるのです。
もちろん、正直にお伝えすべき特性もあります。髪質やこれまでのカラー履歴によって、色の設計は一人ひとり変わります。だからこそ当店では、薬剤の前にカウンセリングを大切にしています。「染められるかどうか」ではなく「あなたの髪で、どう染めるのが一番綺麗か」を一緒に考える時間です。
かぶれる原因は、ジアミンだけではありません
ここは、プロとして正直にお伝えしたいところです。
カラーで反応が出る原因は、ジアミンだけではありません。ヘアマニキュアなどに含まれるベンジルアルコールやエタノール、タール色素、グリコール酸・乳酸、パラベン、フェノキシエタノールといった成分で、かゆみやかぶれが出る方もいます。「ノンジアミンなら何でも大丈夫」と思って別の製品を試し、違う成分で反応してしまった、という方も少なくありません。
さらに知っておいていただきたいのは、「ジアミンフリー」をうたうカラーの中身は一律ではない、ということです。パラフェニレンジアミンの代わりに、アミノフェノールなどの別の酸化染料で染めるタイプのものもありますし、発色を助けるカップラーとしてレゾルシン(レゾルシノール)を含むものもあります。これらはジアミンとは別の成分ですが、頭皮がムズムズしたり、反応が出たりする方がいる成分です。「PPDが入っていない=何も入っていない」ではないのです。
当店のプライムカラーは、ジアミン系の染料そのものを使わないHC染料・塩基性染料のカラーですから、アミノフェノールやレゾルシンといった酸化染料系の成分も使いません。そして、ベンジルアルコールも入っていません。アルコール類についても、刺激の出やすいものとは別の種類を使用しています。明るく染めるオシャレ染めで使うライトナーも、ジアミンとベンジルアルコールを使っていないものを選んでいます。
「ジアミンフリー」という言葉だけで安心せず、他の成分まで見て薬剤を選ぶこと。それが、デリケートな頭皮を守ることにつながると考えています。
もちろん、香料や防腐剤まで完全にゼロというわけではありません。ですから、頭皮が特にデリケートな方には、施術の前にパッチテストをご案内しています。「自分の頭皮が何に反応するのか」を一緒に確かめながら進めることが、長くカラーを楽しみ続けるための一番の近道です。
白髪染めで染めると「黒くなりすぎる」理由
もう一つ、よく聞く悩みが「思ったより黒く、重くなってしまった」というものです。
白髪はメラニン色素がない分、黒髪とは染料の入り方がまったく違います。白髪染め専用の薬剤は、白髪への染着を優先して作られているため、どうしても色が濃く、暗く出やすくなります。
そして本当の問題は、繰り返し全体を染めたときの「毛先」に起こります。毛先は、すでに染まっている部分です。そこへ黒く濁った染料の多い、アルカリの多い薬剤を重ねるたびに、色はどんどん深く入っていきます。一方、根元は新しく伸びた髪なので、浅く染まります。結果として、毛先ばかりが深く暗くなり、根元が浅く見えるという、ちぐはぐな状態になっていくのです。
だから白髪染めを繰り返す場合は、根元だけを染める「リタッチ」が基本になり、毛先は染めなくてもいい、という形になります。逆に、毛先まで全体を染めることを3回以上重ねてしまうと、染料が蓄積して色がもう抜けなくなり、ブリーチをしてもなかなか取れない状態になってしまいます。
当店では、白髪のある方でも、白髪染め専用剤ではなくオシャレ染め(ファッションカラー)で染める設計を大切にしています。ジアミンとアルカリの量を最低限に抑え、ファッションカラーの色味を重ねて白髪に色を入れることで、
・黒く重くならない、透明感のある色
・光に透けるような艶感
・染めたあとの手触りの柔らかさ
が生まれます。伸びてきたときに白髪との境目が目立ちにくい「白髪ぼかし」の設計も、この考え方の延長線上にあります。
ノンジアミンだけが答えではありません——当店の「プレミアムカラー」
ここまで読むと、「アルカリカラーは悪者なのでは」と思われるかもしれません。でも、それは違います。当店には、アルカリカラーの柱として「プレミアムカラー」があります。今お話しした、ファッションカラーで白髪を染める設計が、このプレミアムカラーです。
プレミアムカラーの最大の特徴は、アルカリの量と、濃く染める染料(ジアミン)の量を、その方の白髪の量や髪の状態に合わせて、一人ひとりブレンドすることです。ボウルの中で、その人のためだけに処方を組み立てる。これが当店のやり方です。
多くのサロンでは、ラミネートチューブから絞ったカラー剤に、6%のオキシ(2剤)を混ぜて塗るという、決まったレシピが基本になっています。そこには個別の調整がありません。そのため処方は「白髪を確実に染める」ためだけのスペックになりやすく、必要以上のアルカリと染料が、髪と頭皮をボロボロにしてしまうことがあります。
プレミアムカラーは、必要最低限のアルカリとジアミンに抑え、予防とケアを組み合わせながら染めていきます。たとえば毛先には、すでに染まっている部分に負担をかけないよう、低アルカリのカラーでケアしながら色を整えます。頭皮に不安のない方や、白髪をしっかり染めながら透明感も欲しい方には、こちらが合う場合があります。
ノンジアミンカラーとプレミアムカラー。どちらが正しいかではなく、その方の頭皮と髪の状態に合わせて使い分けられること。それが当店の考え方です。
プレミアムカラーについては、また後日、あらためて詳しくお話ししたいと思います。
40代からのカラーは「スローエイジング」で考える
私がノンジアミンカラーをお伝えするとき、よく使う言葉が「スローエイジング」です。
40代以降、髪と頭皮は確実に変化していきます。髪は細く、ハリがなくなり、頭皮は乾燥しやすく、デリケートになります。それなのに白髪の量は増えるから、染めるペースはむしろ早くなる。この矛盾の中で、月に一度のカラーを10年続ければ、頭皮に薬剤が触れる回数は120回です。
だからこそ、「今日綺麗に染まるか」だけでなく、「5年後、10年後の髪と頭皮がどうなっているか」でカラーを選んでほしいのです。若返らせるのではなく、年齢を重ねるスピードをゆるやかに、今ある髪と頭皮を良い状態で保っていく。それがスローエイジングという考え方です。
一番しっかりケアできる、当店の最高峰コース
当店でノンジアミンカラーを一番しっかり受けていただけるのが、こちらのコースです。
カット+髪質改善ノンジアミン+水素ミネラル+濃密補修
¥30,470〜(ミディアム+¥2,200/ロング+¥2,750・いずれも税込)
施術時間:約4時間
カラーだけでなく、水素ミネラルによる頭皮と髪のケア、濃密補修までを一つの流れで行い、カットはスキバサミでごまかさず、ハサミで形を作る再現性の高い仕上がりを目指します。
約4時間と聞くと長く感じるかもしれません。ただ、当店は完全予約制・マンツーマンで、他のお客様とのかけ持ちは一切しません。その時間は最初から最後まで、あなたの髪と頭皮だけに向き合う時間です。施術の合間も、どうぞゆったりした気持ちでお過ごしください。
最後に——いきなり決めなくて、大丈夫です
「自分の頭皮でも大丈夫だろうか」「今の髪の状態で、どんな色が似合うだろうか」
そう迷うのは当然のことです。当店には、ホットペッパービューティーのメニューから選べる「カウンセリングのみ」(¥3,300)を用意しています。髪と頭皮の状態を見せていただき、どんな選択肢があるかをお話しするだけでも構いません。
白髪を我慢の理由にしないために。5年後、10年後の自分の髪のために。
まずは相談だけでも、お気軽にどうぞ。
サロン ド コワフュール シェ トモ
オーナー/スタイリスト 棚橋知生
滋賀県大津市馬場1-4-33 T&T第2ビル2F(膳所駅から徒歩3分)
営業時間 9:00〜19:00/完全予約制
ご予約・ご相談:077-521-8282(お電話)